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売上1.5倍に導いた、事業承継を機に進めた業務のデジタル化 | ResorTech Okinawa
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沖縄県内の衛生管理を担う専門家集団として日々業務を行っているイカリ消毒沖縄株式会社(以下、イカリ消毒沖縄)。現在代表取締役を務める仲本明(なかもとあきら)さんは、2018年、父親にあたる先代社長(現会長)から会社を引き継ぎました。
仲本さんは県内IT企業勤務を経て、2004年から5年間、イカリ消毒株式会社名古屋営業所に所属。様々な経験を積み、2009年にイカリ消毒沖縄に入社します。事業承継については「漠然と考えていた」程度でしたが、2013年に「社長の平均年齢は69歳」という新聞記事を目にし、先代社長がその年齢をとうに過ぎていることに衝撃を受けての決意でした。
承継がうまくいかず廃業してしまう企業の事例も多く目にしていたため、「覚悟を決め、計画的に取り組まなければ」と、慎重に準備を進めた仲本さん。社員への事前通知を行い、入社から数えると9年の準備期間を経て2018年に事業承継を果たします。
仲本さんは入社当時からアナログ・紙ベースだった業務に大きな課題感を持ち、強い危機感を抱きながらデジタル化を進めてきました。経理・労務の面から会社を支え続けている妹の米嶋結子(よねしまゆいこ)さんとともに、承継を機にさらなるデジタル化を進め、大幅な効率化・生産性向上を成し遂げた取り組みをご紹介します。

最新スケジュールは電話で確認、行方不明になりがちな回覧書類

イカリ消毒沖縄社長の仲本さん、経理・労務担当の米嶋さん
事業継承した仲本さん、経理・労務管理で会社を支える米嶋さん

当時、書類は紙での保管が基本だったため、業務の効率を大きく下げていました。
お二人は以前の様子を次のように振り返ります。

仲本さん
「紙はかさばって管理がめんどうですし、必要な資料を探すのも大変。稟議書など社内で回覧する書類も多いのですが、それが今どこにあるのか、誰で止まっているのかわからないということも頻繁に起きていました」

取引先とのアポイントなどのスケジュールは、大きなカレンダーに手書きしたものを社内に貼り出して共有する形。顧客とのやりとりに手間がかかったり、電話対応が煩雑になったりする原因にもなっていたそうです。

米嶋さん
外勤する日は出社時にカレンダーに書かれている内容をメモして持ち出すといった工夫もしていましたが、取引先からの依頼が事務所に入る場合も多く、状況は刻々と変わります。事務所への電話でしか最新状況を知る手立てがなく、『○日○時は空いているか』『○○さんの予定を教えて』という問い合わせの対応に追われる日々でした」

デジタル化がある程度進んでいた県外大手企業での勤務経験が長かった仲本さんは、こうした業務の効率化・生産性向上の必要性を日々ひしひしと感じ、まず紙の書類やFAXのデジタル化から取り組み始めます。

様々なツールで業務の効率化を進め、売上は約1.5倍に

仲本さんがITツールを導入したのは、承継を決意した2013年。紙やFAXの情報をサーバーに格納して管理するツールDocuWorks(ドキュワークス)が、最初のツールでした。付箋を付けたりページをめくったり、実際の紙を扱うように直感的に操作できることからスムーズに受け入れられたそうです。検索や共有機能も充実し、回覧書類がどこにあるのかがわかりやすく可視化され、書類管理の課題を大きく改善しました。

2015年には、従業員にiPadを配布してカレンダー機能と連携いつでも、どこからでも、リアルタイムのスケジュールを記入・確認・共有できる環境を整えました。確認や連絡のために事務所へ電話をかける必要もなくなり、取引先とのアポイントもスムーズに。商品カタログもデジタル化して格納し、持ち運べるような工夫も行います。

さらに2018年には、BI ツール(※)を用いてマップ上に顧客の所在地、規模などの情報を一元化。文字のみの住所情報では見えづらい位置関係をわかりやすく表示することで、スピーディかつ移動効率も加味した担当分けができる仕組みを取り入れます。

仲本さん
「BIツールでのデータ活用・可視化は当時まだ珍しく、報告を行った際、イカリ消毒本社からも驚かれました」

こうした様々なツールの導入もあり、2013年と比較すると現在の売上は1.5倍に、人時生産性は1.9倍にアップ。3~4時間があたりまえだった平日の事務処理にかかる残業時間は、1時間程度にまで改善しているそうです。

イカリ消毒沖縄社長・仲本明さん
※BI:Business Intelligenceの略。企業活動で蓄積されるデータから必要なものを抽出・分析、グラフなどの見やすい形に加工し、より早く、優れた経営判断や業務遂行に役立つソフトウェア

費用対効果を重視し無料期間を活用、高額のツールには補助金を申請

ITツールの導入については、商工会のIT勉強会やITコーディネーターのアドバイスなども活用しながら、仲本さん自身がWebサイトなどで情報収集して進めました。「使い勝手が悪い」「効果が出ない」といった事態が起こらないよう、なるべく現場で使いやすく、費用対効果が高い少額のツールを選定し、トライアル使用から始めたそうです。
一方で、100万円単位の投資が必要なものに関しては、国や沖縄県の補助金を活用
2019年、厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」を利用して導入したのは、タイムカードと手集計で対応していた勤怠管理のクラウド型システムでした。
仲本さんは「導入費用の2/3ほどを補助金でまかなえたため、本当に助かった」と語ります。同時に、10年来の課題だった就業規則の見直しや基本給のベースアップも実現しました。

2022年9月には、沖縄県の「小規模事業者等デジタル化支援事業」で、AI搭載のドライブレコーダー「DRIVE CHART(ドライブチャート)」を導入。営業車の車内と前方に1台ずつカメラを配置し、脇見運転や一時不停止といったリスク行動を自動的に検知して映像・音声を記録し、管理者にもアラートで知らせてくれるツールです。

AI搭載ドライブレコーダー「ドライブチャート」
事故の原因となるリスク運転行動を自動で検知

仲本さん
「多くの取引先を訪問するため、車での移動が業務時間の約40%を占めています。年に数回は小さな事故が必ず起きており、大事故につながる不安があったことと、増額が続いていた保険料の削減もできればと考えました。従来使用していたドライブレコーダーでは、事故が起きた時の記録にしかなりません。そうではなく、事故を未然に防ぐツールが欲しかったんです」

反発や不安の声は、丁寧な説明と目的共有で納得感に変えられる

勤怠管理のクラウド化に付随して行われた就業規則の変更とDRIVE CHART導入に際し、現場からは反発の声も聞かれました。

米嶋さん
「当時はあらかじめ見込まれる分の残業代を給与に含めて支払う“みなし残業制度”を取っていました。これを撤廃し、基本給を上げて実際の残業分を支払う形に変更したんです。給与をベースアップする目的でしたが、『給与が減ってしまう』という不安の声が多く聞かれました。そこで、各従業員の数年分の給与シミュレーションを作り、ひとりひとり面談して給与が減るわけではないことを説明しました」

DRIVE CHARTでは、運転中の映像や音声記録が残る点がネックになりました。仲本さんは幹部向けの説明会や質問への個別対応を行い、「事故の加害者も被害者も出さないため」という目的を丁寧に伝えます。そして、映像記録の顔部分にモザイクをかけ、管理者確認は音声のない状態で行う形を提案し、従業員全員の納得を得たそうです。
これにより、日々の運転データが可視化され、運転に向かう意識が大きく変化。導入から1年以上が経過した2023 年10月現在、事故はまだ起きていません。

トップダウンで導入を進めながらも、現場の不安や反発にはしっかりと耳を傾け、その原因をできる限り取り除くとともに、目指すものを共有することで納得してもらえるように努める。そうした柔軟な姿勢が、様々なツールの導入・浸透をスムーズにしています。

自社の価値を深く理解する契機となった「決算書では見えない企業資産」の可視化

承継への準備が進んでいた2015年、イカリ消毒沖縄は「沖縄県企業価値可視化促進事業」を利用して、決算書からはうかがい知ることのできない価値を可視化することに取り組みます。専門家の指導のもと、会社のなりたちや理念の再確認、業務の棚卸などを行ったそうです。

米嶋さん
「先代社長の発案で始めました。幹部や正社員とこうした時間を持つのは初めて。講義で出される課題にも皆で取り組みました」

イカリ消毒沖縄の米嶋結子さん

仲本さん
「承継のタイミングでこの事業に参加できたことは大きかったです。会社の理念や価値を深掘りし、父の話をじっくり聞く時間は本当に必要な時間だったと感じます」

仲本さんも会社を支える幹部や正社員も、創業者でもある現会長の思いや、会社の価値として大切にしてきたものを深く理解したうえで承継に臨むことに。
さらには、業務の棚卸により、会社の強みや弱み、ボトルネックのほか、活かすべき部分やケアしていかなければならない部分をしっかりと言語化・認識することにもつながりました。その後のITツール導入などの取り組みの大きな指針も得られる経験になったようです。

目指すは本社より一歩先へ。新たな事業の創出も視野に

イカリ消毒本社でも、2018年には情報システムの専門部署を開設して様々なITツールの導入を行い、業務の効率化を進めています。仲本さんはその動きとも連携しつつ、ITツール活用・業務効率化を進めていく構え。今後はノーコード開発などのためのIT人材の雇用も進め、業務日報、社内申請、作業報告書の自動化などにも取り組みたいと語ります。
また、「資格取得や人材雇用により、現在委託している修繕や滅菌処理なども自社で提供できる体制を整えていきたい」と、新規事業の創出にも意欲を燃やしています。
そんな仲本さんに、ITツールの導入にこれから取り組む経営者の皆さんへのアドバイスをうかがいました。

仲本さん
「まずは沖縄県外に出てみること。どう取り入れるかという視点を持って県外の企業に目を向け、自社の業務方法と比べてみると、改善できる部分や必要な部分がたくさん見えてくると思います。そして『できたらいいな』で終わらせず、行動することが大切です。
今は問題ないとしても、5年後、10年後、世の中がどう動いているか。日本本土や海外から参入してくる企業と渡り合い、生き残っていく企業であるためには、ITツールの活用はもはや必要不可欠だと思っています」

変化は怖いものだと思わず、周りの意見にも耳を傾け、新しいものには「おもしろそう」「便利そう」とまずは触れてみては、と話す仲本さん。
今の業務のあり方を「もしかしたら、もっと良くできるのでは?」という視点で見直し、他社の事例などから学びつつ、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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