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社内IT人材の確保で社内システムと新サービスを構築 | ResorTech Okinawa
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那覇市久茂地川(くもじがわ)沿いにある株式会社クロックワークは、食品検査全般を扱う、県内でも珍しい企業だ。
2018年に「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」を制度化する項目を含む食品衛生法が改正。それに合わせ新しいアプリケーション「HACCPort(ハサポート)」を開発し、県内の飲食店をIT面からもサポートしている。
代表取締役である伊志嶺哉(いしみね・ちかし)氏はデジタル化を喫緊の課題として捉え、小規模事業者でありながら投資的にIT担当スタッフを雇用、社内のIT環境を整備してきた。
現在、二人三脚で社内IT化を進める伊志嶺氏と情報システム部の新垣賢宏(あらかき・たかひろ)氏に社内IT化の歩みを聞いた。

社内にIT人材を抱えて業務改革を加速!

代表取締役・伊志嶺氏(以下、敬称略):私たちの主な事業は、「微生物検査」「食品工場除菌システム」「食品衛生関連機器取扱い」「食品衛生講習会・指導」で、柱となるのは食品類にかかる微生物検査。2011年頃、業務効率化の目的で、まずは食品検査業務に関する基幹システム構築に着手しました。

食品検査の様子
食品検査の様子

伊志嶺:基幹システム構築に当たり、IT企業4社に見積を依頼。全く同じ条件を提示したのですが、出てきた見積に250万円から3,000万円まで約10倍の開きがあったんです。でも、提案書を見比べても10倍の違いが感じられず、違和感というか、どこかに齟齬が生じているんだろうと想像しました。250万円のシステムを選んだとしても、仕様変更の都度料金が発生するでしょう。仮に3,000万円をシステムに投資するとすれば、自社で雇用した人材を育て、業務とシステムを隅々まで理解してもらったうえで、いつでもアジャイル()開発可能な状況にする方がいい。今後はそうしていかなければならない、と考えましたね。

2人のIT担当者の採用を検討したのですが、本採用に至らず、Microsoft® Access®()でデータベースを作り、その後、ローコード()でテーブル()を設計、RDB()に移行しました。

クロックワークの社内システム概要図

伊志嶺:そうは言っても、私も社内のIT化のみに時間を費やすこともできません。試しに「kintone」()などクラウドサービスも使ってみましたが、業務の性質、捉え方が違うため、専門的な知識を持たない一般スタッフでは思ったような運用ができませんでした。実際の運用にはやはり専門的な人材が必要だと感じていた時、タイミング良く経験と技術を兼ね備えた新垣を社内のIT・システム担当として採用することができたんです。

「社内にIT担当者を置いたことがうちの強み」と語る伊志嶺氏

伊志嶺:まずは「検査受付」から「工程管理」「案件管理」までのシステムを一緒に構築。その後、このシステムに見積書や報告書といった文書発行やFAX送信機能を追加していきました。

デジタル化の可否を握る「計算」「入力」「共有」

伊志嶺:システム構築全般に言えることですが、業務工程の中でIT化できるもの、できないものを最初に把握することが大事だと思います。例えば、受付・文書責任者の業務の工程の場合、「依頼書受理」「検体確認/保存場所確定/カレンダー記入」「検体フォルダ作成」のように細分化し、「発生頻度」「所要時間」「難易度」「システム化可否」の項目についてチェックを入れる。これを全工程で行っていく要領です。IT化の準備段階として、組織図を基に部署とスタッフごとにこの作業を行うことをおすすめします。

クロックワークの「受付・文書責任者の業務の流れ」の業務を細分化した際の例。「この作業が非常に大事」と伊志嶺氏

伊志嶺:業務工程の中で「計算」「入力」「共有」「次の業務工程につながる数字」が関わる箇所がデジタル化できる可能性が高いです。給与計算、生産管理、スケジュール管理などはデジタル化しやすいですが、話したり、考えたり、実際に手を動かす部分はデジタル化しにくく、工夫が必要です。キーワードは「計算」「入力」「共有」ですね。

伊志嶺:私は小学生の頃からプログラムを組むのが好きだったこともあり、自分自身でシステムのベースを構築しましたが、外部委託の選択をする場合がほとんどだと思います。でも、業務改革をITで行うのであれば、最低限業務工程の書き出しと整理はやってみてほしいと思います。課題の把握にもつながりますよ。

※アジャイル=直訳すると「素早い」「機敏な」。“アジャイル開発”は、システムやソフトウェアの開発の際、小さい単位で実装とテストを繰り返して進めることを指す。全体的に開発期間を短縮できることからこう呼ばれる
※Microsoft® Access®=Microsoft®が提供するデータベース管理ソフト
※ローコード=必要最低限のソースコードを用いてアプリケーションを迅速に開発する手法やその支援ツール
※テーブル=IT用語で、概念は表計算ソフトのシートのようなもの。例えば通信販売の販売データは“商品一覧”と“顧客一覧”などの組み合わせで構成されるが、その“一覧”を構成するデータを指す
※RDB=Relational Database(リレーショナルデータベース)の略。上の「テーブル」を複数関連(リレーション)させるのでこのように呼ばれる
※kintone=サイボウズ株式会社が提供するアプリケーション。webデータベース型で、企業や業務内容に合わせたシステムが構築できるほか、顧客管理や申請ツール、チャット機能、勤怠管理などさまざまな機能を自由にカスタマイズできる

 

勤怠管理システムで5日の業務を1日に

伊志嶺:次に勤怠管理システムの構築に着手しました。当時、スタッフの勤怠管理と給与計算に2日程度かかっていたんです。市販の勤怠管理ソフトも検討したのですが、機能や使い勝手がそれほど良くない印象で。検査業務で食品の検体を入れるシャーレの読み取りをバーコードで行おうと考えていた時だったので、スタッフ別にバーコードを割り当て、それを読み取ることで出勤・退勤時間が反映される仕組みを作りました。

情報システム部・新垣賢宏氏(以下、敬称略):2016年にこの勤怠管理システムを構築しました。それまでは12人のスタッフが紙の勤怠表を総務に提出、総務担当がExcelで集計していたんです。総務担当は実質1人で、12人分の勤怠管理に約2〜3日が必要でした。

二人三脚でIT化を進める伊志嶺氏(写真左)と新垣氏(同右)

伊志嶺:私がExcelデータを受け取り、当時使っていた会計ソフト「弥生会計」()に投入するという流れ。勤怠管理に関する作業時間を整理すると、各スタッフの記入は1人約2時間×12人分の1日、総務担当の集計に2〜3日、私の確認・入力に1日。約5営業日かかっていた業務が約1日に短縮できました。

伊志嶺:その後、私の出張が多くなりクラウド管理の必要が出てきたため、「弥生会計」から「Crew(クルー)」()に変更。2018年11月に「Crew」がサービスの提供を終了したため、ランニングコストも踏まえ、現在は「FreeWay給与」()を使用しています。アプリは変更しましたが、勤務データをCSVファイルで書き出してアプリに読み込む工程、アプリから「全銀データ」()を作成しインターネットバンキングに投入する工程はそのままです。

※弥生会計=弥生株式会社が提供するビジネスソフトウェア。会計ソフトのほか、青色申告、白色申告、給与明細をサポートする
※Crew(クルー)=株式会社アックスコンサルティングが提供していた会計ソフト。請求書、給与計算、明細配信、マイナンバー、会計&請求書&給与ソフトが全て使えるパッケージプランなどがあった。弥生会計シリーズのデータ取り込み機能があったのも特徴。マネーフォワードとの業務提携により2018年11月末にMFクラウドに移管
※FreeWay給与=初期費用不要、月額1,980円で利用できる会計ソフト。給与明細のメール送信、全銀データの出力、年末調整・法定調書なども無料で作成できる
※全銀データ=インターネットバンキングに取り込めるデータ。スタッフの給与や賞与を振り込む際の手間を大幅に削減できる

 

今後の可能性を感じ「Google Cloud API」で社内システムを構築

伊志嶺:メールやスケジュールに関してはGoogleが提供している「Google Workspace」()を使用していますが、弊社で自社開発した「日報管理」のシステムはこのGoogle WorkspaceとのAPI連携(Google Cloud API、)で組み立てています。今後、データとアプリケーションをAPIで連携する手法が当たり前になっていくと考え、練習の意味でも社内のシステムで実践したいという思いもありました。こうした連携にはさまざまな可能性を感じ、注目しています。

新垣:日報管理に関しては、システム構築から行いました。通常はシステムのフォーマットに直接入力していくのですが、Google Calendarと連携させたんです。

日報のイメージ

新垣:スタッフは、その日の業務内容と所要時間をGoogle Calendarに記入。「移動」「会議」「検査」など作業ごとに内訳を把握することができるので、どんな作業に時間を要しているのか把握しやすくなります。また、複数の事業を並行して行っている場合、事業ごとに決まった番号を割り振って抽出することもでき、事業ごとの作業時間の割合も把握可能です。こうしたデータは効率化や作業分担の見直しの際にも活用できると思います。

※Google Workspace=Googleが提供するグループウェアとして利用可能な組織向けオンラインアプリケーションセット。カレンダー、メール、文書ソフト「ドキュメント」、表計算ソフト「スプレッドシート」などビジネス用アプリケーションを網羅する。小規模事業者向けの「Business Starter」プラン、中規模事業者向けの「Business Standard」プラン、さらに内容を充実させた「Business Plus」プランがある
※Google Cloud API=Google Cloud Platform サービスへのプログラマティックインターフェース。コンピューティングからネットワーキング、ストレージ、機械学習ベースのデータ分析まで、あらゆる機能を簡単にアプリケーションに追加できる

 

主要業務から生まれた新アプリ「HACCPort」

伊志嶺:2020年5月、食品検査の業態を生かしたアプリケーション「HACCPort(ハサポート)」をスタート。2021年6月に、食品の衛生管理に関する「HACCP(ハサップ)」()が完全施行となることを受けて、サービス開発に着手しました。

「HACCPort」のスマートフォン版トップ画面

伊志嶺:「HACCPort」は、「HACCP」の義務化に際して必要なチェックと記録の保管に特化したアプリケーションです。飲食では「惣菜」「旅館・ホテル」「黒糖」「普通豆腐」「島豆腐」といった約100種の業種から、沖縄県内に多い業種をピックアップしてカスタマイズしています。

新垣:業種ごとにチェック項目が異なるのですが、同様のサポートサービスでも大手は飲食店向けしか作っていません。「HACCPort」は沖縄県内にある業種の8、9割はカバーできているはずです。アルバイトスタッフがスマートフォンを使ってチェックすることも想定し、PC、タブレット端末だけでなく、スマートフォンにも対応しています。

伊志嶺:記録は「一般衛生管理記録」と「重要管理記録」の2種類。「一般衛生管理記録」では「トイレの洗浄・消毒」「従業員の健康管理」「手洗いの実施」といった衛生全般の項目を、「重要管理記録」では「非加熱のもの」「加熱するもの」などについて一つ一つチェックします。

「一般衛生管理記録」のチェック画面。チェック項目に触れると、補足の文章が表示され、マニュアルを参照することなくスマートフォン上で完結する仕組み

伊志嶺:月額1,500円(年間契約で毎月1,200円)のサービスです。間もなく開始から2年を迎えますが、40施設ほどでご利用いただいています。競合他社のサービスと違う点は、2週間に1回「記録率」をフィードバックすること。記録率が低い場合はオーナーに注意を促し、実際に店舗に出向いて記録率が上がらない課題を一緒に解決するコンサルティングも行います。自由記載の「特記事項」欄も設けていますが、記載内容からユーザーの課題や困りごとを把握でき、その後の対応に生かせるので重宝しています。

新垣:データは、スタッフごとの記録率、記録率の推移、チェック項目ごとの良否の割合で集計できるほか、特記事項も一覧出力できるようにしています。これは競合他社にはない機能ですね。食品検査を良く知る私たちが開発・提供していることもあり、“かゆい所に手が届くサポート”と評価いただいています。

集計画面のイメージ。集計データはスマートフォンからも閲覧可能

伊志嶺:ユーザーからは「スタッフ間のコミュニケーションが良くなった」「人によって記録に差があったが、見える化で均等になった」「『虫が出た』といったことはあまり報告されなかったが、記録から対策が取りやすくなった」という声も多かったですね。

※HACCP(ハサップ)=「Hazard Analysis and Critical Control Point」の頭文字から作られた言葉。食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因を把握し、原材料入荷から製品出荷に至る全工程で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法

 

経営者側も努力を怠らず、社内IT人材を生かす

伊志嶺:社内にIT担当スタッフがいることで、社内システムだけでなく、新しいサービスの開発も可能になりました。やはり社内に人材を置くことは正解だったと感じています。日本では、IT人材がIT企業側に多く、非IT企業の社内にはほとんどいない状況です。諸外国だと真逆ですよね。今後は、中小企業でもIT担当者が社内にいるのが当たり前にならなければ、競争力を維持できないと思っています。

 

伊志嶺:IT開発側も社内の業務フローや鍵になっている部分を理解し、お互いが歩み寄ることが大切です。特に、近年は、1年で業務内容が大きく変わってしまうような経済のスピード感なので、どうしてもシステムの改修は必須。その都度費用が必要になると考えれば、最終的には社内にIT担当者を置く方が効率的で、費用対効果も高くなると考えています。

伊志嶺:業種によっては汎用性のあるアプリもありますし、ノーコードのクラウドサービスや社外への委託を否定するつもりもありません。でも、業務のIT化はコードの問題ではなく、業務フローをテーブルに変換し、それぞれのケースでコンピューターにどう処理させるかを検討する“仕組み”の問題と捉えています。経営者側もテーブルの構造、ケースバイケースの処理の方法や考え方を勉強しなければスタッフに伝えられません。私も日々勉強です(笑)。

【PROFILE】
社名:株式会社クロックワーク
住所:沖縄県那覇市牧志2-19-10 松善ビル1階
設立:2006年3月
役員:代表取締役社長 伊志嶺哉

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