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町の小さなベーカリーがITの力で多店舗経営を軌道に乗せる | ResorTech Okinawa
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【2023/10/10追記】2022年取材時からの取り組みはYouTubeでも紹介!

取材当時からも少しずつITツールの導入を進め、業務の効率化・生産性の向上を実現してきた今井さん。
その取り組みは、こちらからもご覧いただけます!(10/10 23:00~公開)

【取材当時から進んだ取り組み】
◆マネーフォワードでの請求書管理開始
◆キャッシュレス化も進めつつ、現在主流の現金決済に対応する自動釣銭機も試運転開始
◆原価計算ソフト導入、見える化
→一時大幅に上昇した原価率が32%に。原価率や利益率をデータとして共有することで、「利益を確保しよう」「廃棄を減らそう」といった工夫にスタッフ全員が取り組むようになった点が大きい
◆人材育成制度の開始(2022年7月~)
→『令和3年度 内閣府 沖縄型産業中核人材育成事業 沖縄のIT・サービス産業界におけるDX推進人材育成プログラム』に参加。「データ蓄積と同時にそれを扱う人材育成が要になる」と実感。東京からコンサルを招き、経営者研修、管理職研修、幹部職研修 各月1回を業務時間内に実施。パート向けにもライフプラン研修実施。
→他企業と比較しない、去る者を快く送り出すといった今井さんのマインドの変化はもちろん、心理的安全性の担保でスタッフが意見を言いやすく、取り入れやすい職場環境へ変化。共通理解、認識ができ、商品開発など任せられることが増えた。また、一致団結して業務を行うことができ、イベントで過去最高の売上も記録

【今後の展望】
◆ECサイトの売上ボリュームの向上で県内外への販路拡大を目指す
◆県外イベント出店の強化
→京都、池袋等現在年間1回ほどの県外出店を年間3回に増やす
◆県内他企業とのコラボレーション
→食卓全体をプロデュースするビジョン

公的支援機関と二人三脚でこつこつIT化
2012年、沖縄県・那覇市に町のベーカリーとして誕生した「いまいパン」は、2022年現在、市内で3店舗を構えるまでに成長している。
店舗数が増え、売上も順調に伸びたものの、次第にスタッフの労務管理や経理業務に課題が生まれ、代表の今井陽介(いまい・ようすけ)氏は休むこともままならない状態に陥ってしまう。
一時は多店舗展開をあきらめようとまで思い悩んだが、沖縄県産業振興公社の存在を知り、相談へ。IT導入で課題を一つ一つ解決し、2021年度には、「全国中小企業クラウド実践大賞」()にエントリー。九州・沖縄大会を勝ち抜いて全国大会に出場、見事「沖縄総合通信事務所賞」を受賞した。
パソコンすら使っていなかった小さなベーカリーがITを導入、効率化を行い、コロナ禍でも売上を伸ばしている。一歩一歩前進していった今井氏の取り組みを取材した。
全国中小企業クラウド実践大賞=クラウドを活用して新規事業創造、収益向上、業務効率化を実現した中小企業等の実践事例を発掘し、表彰するためのプロジェクト。毎年、地方大会および地方大会で選出された代表による全国大会が行われる

クラウド勤怠管理システム導入で集計作業が2分の1に!

2012年、那覇市・識名園近くの真地(まあじ)に1号店をオープンしました。スタッフ5人でスタートしたんですが、2017年11月に古島店をオープンした頃には20人になり、古島店が軌道に乗り始めて25人体制に。さらに、2021年の3月には識名園に売店形式の「王朝食パン」も出店し、現在は28人が勤務しています。

高級食パンに特化した「王朝食パン」

規模拡大によって個人事業から合同会社となった2019年頃は、スタッフの勤怠時間集計が非常に大きな課題でした。スタッフ手書きのタイムカードを私と妻で集計していたんですが、私はパン職人で妻はケーキ職人。昼間はそんな時間が取れず、帰宅後に作業するしかありませんでした。開店当初のスタッフ数ならまだしも、30人近くにもなると相当な負担でしたね。夫婦関係もギスギスし、勤怠集計の時期が来るのが怖くてしょうがない状態になってしまいました。

現在もパソコンを使う作業は自宅で行っている

どうにかこの状態を解決しなければと考え、2017年に、沖縄県産業振興公社の担当者にアドバイスをいただき、「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」を利用し、クラウド勤怠管理システム「KING OF TIME」()を導入。出退勤時、スタッフが店舗設置のiPadにタッチしたデータがクラウドに蓄積され、Excelでの出力が可能になったため、勤怠集計の負荷は劇的に軽くなりました。

弊社は早番19:00まで、遅番22:00までのシフト勤務制。現在は手動でシフト調整を行っていますが、今後は自動化したいと考えています。

常に焼き立てを並べられるよう、仕込みの手が止まることはない

勤怠管理に加え、当時弥生会計()で行っていた給与計算も大きな負担でした。月末は連日深夜3時頃までExcel入力。アナログで労力が掛かる上にミスも起きやすく、税理士さんにも大きな負担を掛けてしまっていたんです。そこで、「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」を活用して会計システムの導入を行おうと、検討を始めました。

会計システムは数多くあり、どれを選ぶべきか本当に迷いましたね。沖縄県産業振興公社の担当者に相談に乗っていただきながら、費用や少人数の場合での使い勝手に加え、今後の店舗拡大なども見据えて選んだのが「マネーフォワード クラウド」(です。

弥生会計はクラウド仕様ではなかったので、社会保険料改定などがあった場合は自分で調べ、一人ずつ対応しなければなりませんでした。「マネーフォワード クラウド」はそうした給与計算に関わる改定が自動反映されるんです。地味に時間を取られる作業がなくなり、非常に効率的になりました。何よりも改定への対応が遅れることがなく、ミスを防げる点で安心ですね。

2020年までは手渡しだった給与明細もペーパーレス化し、クラウド上のデータをID・パスワード入力で閲覧できるスタイルに。スマートフォンからの閲覧や印刷も可能です。

KING OF TIME=全国に200万人以上のユーザーを抱えるクラウド勤怠管理システム。勤務時間、シフト管理などのワークフロー、給与計算ソフトとの連携といった労務管理のシームレスな運用が可能。1人あたり月額300円の価格設定も人気の理由
弥生会計=弥生株式会社が提供する会計ソフトウエア。会計、販売管理、給与計算、顧客管理、青色申告、確定申告ソフトなど財務・会計に関するさまざまなソフトがあり、登録ユーザーは250万人を超える
マネーフォワード クラウド=会計業務から人事労務までバックオフィス業務を効率化するソフトウエア。個人事業主から上場企業まで会社の規模を問わずサポートが充実。法令変更に迅速に対応する点も支持される理由

 

売上データ分析で「売れる」商品ラインアップを実現

「マネーフォワード クラウド」の導入にはもう一つ狙いがありました。売上データからのABC分析(を行うことです。店頭には常時100種類以上の商品が並びますが、「パン」「焼き菓子」「ドリンク」のカテゴリーと価格しか登録がない状態でした。2017年に古島店、2019年に真地本店への「Airレジ」()導入は済ませていたため、カテゴリーと価格に加え商品名の登録を行い、「マネーフォワード クラウド」と連動させて詳細な売上データを記録できるようにしました。

スタッフのアイデアで毎月のように新作パンが並ぶ

蓄積したデータから、販売数の上位8割を「A」、その次の1割を「B」、さらにその下の1割を「C」のランクに分類。Cランク下位50%を廃盤対象とし、新商品を考える際のヒントにはAランク商品のデータを活用しています。原価高騰が続いていますが、Aランクから看板商品以外を値上げ対象とするといった判断材料にもなるので、助かっていますね。

パンは日持ちがせず、単価も低めです。利益率が高く日持ちのする商品をと考え、2015年に開発したのがご近所の老舗煎餅店の塩煎餅をベースにした焼き菓子でした。観光のお客様には本店から徒歩5分の世界遺産・識名園のお土産として、地元のお客様にはちょっとしたギフトなどにもご利用いただき、好評をいただいています。売上データの分析を進め、こういった商品の開発につなげていければいいですね。

日持ちする焼き菓子の商品化は店舗運営安定に大きく貢献した
地元客にも親しまれる「識名園 るうまんぺい 浪漫餅」
売れ筋を把握することでロスも劇的に減少した

店舗ごとに年、月、日、曜日別の売上データを出せるので、どの時間、どの店舗にスタッフを何人配置すれば良いか判断できるようになりました。忙しくて手が回らない、逆に人手が余ってしまうといった状況を避けられるようになったことも大きな変化でしたね。

店舗ごとの売上をグラフにした出力イメージ
ABC分析=商品分析の方法の一つ。売れ筋を一覧にし、仕入れや露出、商品数の調整を行う経営戦略の基本でありポピュラーな手法
Airレジ=会計・売上管理やレジ締めなどが行えるPOSレジアプリ。初期導入から月額利用まで、お金の負担なく導入できることで人気。

 

離職の原因・コミュニケーション不足はLINEで解消

3店舗で約30人のスタッフがいると、どうしてもコミュニケーションの問題が出てきます。そこで、2019年に社内コミュニケーションツールとしてLINEを導入しました。

シフト制でスタッフの出勤時間がまちまちなので、連絡事項はLINEグループに一括。ルールの新設・変更、特別注文、クレーム、店舗近くで行われるイベントといった情報を主にやり取りしています。中でも、クレーム内容とその対応は、再発防止のためにもしっかり共有するよう心掛けていますね。

LINEはプライベートでも使っているスタッフが多いので、緊急でなければ、業務使用は9:00~20:00位まで、定休日にはメッセージを送らないといったルールを決めて運用しています。

LINE導入前はスタッフ同士のコミュニケーションが難しく、すぐに辞めてしまうケースもあり採用コストが課題でした。現在はLINEでの情報共有に加え、月1回の全体会議やグループ会議も設定。デジタル・リアル両面からコミュニケーション環境を整備し、少しずつ改善できています。小売業は人が資本。コロナ禍でも良い人材は積極的に採用したいので、さらに工夫していきたい部分です。

メッセージと共に写真でも情報共有

人材育成も重視している部分です。パンに関することはもちろん、経営についての勉強会の必要性も感じています。弊社スタッフも数名独立しましたが、資金繰り等で苦労することが多いようで・・・。2022年からは幹部スタッフには材料費や人件費を含めた会計情報を共有し、経営状況を把握してもらう予定です。IT化とは少し違いますが、経営する立場になると必ず必要になる知識なので、丁寧に教えてあげたいと思っています。

今後、店舗を拡大していくにも人材は大切。いかに優秀な人材を雇用できるかがカギになってきます。ITで業務効率化を進めながら、人材不足に陥る時期を少しでも回避できるよう、人材育成にも常に課題感を持ち、改善していかなければならないと思っています。

ITに疎くても、公的支援機関はしっかり後押ししてくれる

原材料も人件費も高騰が続き、昔ながらのパンの店は少なくなっているのが現状です。私が知っているだけでも3店舗、コロナ禍で閉店してしまいました。変化が激しく未来の予測は難しいですが、ここ数年感じるのは、ITによる効率化を進めなければさらに厳しい時代が来るということです。

私は、2015年に沖縄県産業振興公社の別事業に採択されたことがきっかけで、公社が企業のIT化支援を行っていることを知りました。同じ沖縄産業支援センターに入居する沖縄県よろず支援拠点も同様の支援をしています。ITの知識やIT業界とのつながりがなくても無料の相談から始めることができ、私は本当に助けられました。迷っているなら、すぐに相談することをおすすめします。

2018年からは沖縄県中小企業家同友会に所属し、ネットワークを広げるとともに、改めて経営の勉強も始めました。異業種の経営者の皆様と多く接し、生の情報に触れることは大きな刺激になりますね。今回私たちが実行した労務や給与管理、財務会計のIT化は当たり前で、もっと進んでいる業種も数多くありますし。こうしたことを肌で知ることができたのも、「IT化を進めたい」というマインドを持てた大きな要因でしたね。今後もIT導入はもちろん、同業種・異業種交流の機会も大切にし、学ばせていただきながら、より良い経営を目指したいと考えています。

いまいパン 真地本店

【Profile】
「いまいパン 真地本店」
住所:沖縄県那覇市真地12-4
電話:098-836-3008
営業時間:7:30~19:30
定休日:月曜日

「いまいパン 古島店」
住所:沖縄県那覇市古島1-28-5
電話:098-911-1397
営業時間:10:00〜19:30
定休日:月曜日

「王朝食パン 識名園」
住所:沖縄県那覇市字真地421-7 識名園駐車場内
電話:098-961-3233
営業時間:(4〜9月)10:00〜17:30、(10〜3月)10:00〜17:00
※売切れ次第閉店する場合あり
定休日:水曜日

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