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データから”人”の行動変容を促す西表島交通のロードキル対策 | ResorTech Okinawa
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西表島交通グループは、西表島の生活インフラと観光を幅広くカバーする企業グループで、西表島のバス、タクシー、レンタカー、自動車整備の西表島交通株式会社、遊覧船・カヌーツアー・土産販売を担う株式会社東部交通、スーパーやガソリンスタンド経営を行う株式会社玉盛商会で構成されています。
西表島は、2021年に世界自然遺産に登録された豊かな自然の島。観光は島の主要産業であると同時に、多くの観光客が訪れることによる自然環境や野生動物への影響という課題も抱えています。
中でも、島の自然のシンボルとも言えるイリオモテヤマネコのロードキル(※)は、記録が残っている1978年から2021年12月までの間で97件が発生、うち89件で死亡が確認されています。対策委員会などの結果をもとに様々な取り組みが進められたものの、発生を食い止めることは難しかったのが実情です。
そんな中、西表島交通は、レンタカーがイリオモテヤマネコの頻出ポイントに近づくと車内に音声案内が流れるシステムを開発して実証実験を開始。実証実験前は約500件だったスピード超過を20件弱にまで激減させる成果を挙げました。
両立の難しい観光と自然保護。データを集め、データが示す事実から「自分たちにできることは何か」を考え、実施することでその実現に取り組む、代表取締役の玉盛雅治(たまもりまさじ)さんにお話を伺いました。
※ロードキル:道路による影響で野生動物が死亡すること。車両に轢かれる、衝突するといった交通事故によるものも多い

ロードキル対策の主眼を「データにもとづく人間の行動変容」へ転換

島の自然のシンボルともいえるイリオモテヤマネコのロードキル対策のため、沖縄県や環境省は委員会を実施。頻出ポイントや注意事項を記載したチラシなどの配布、標識や立て看板での注意喚起、減速帯(車両の減速を促すために車道に段差をつけるもの)やアンダーパス(車道の下を通る動物用のトンネル)の設置など、様々な対策を行ってきました。一方で、野生動物を道路に近づけないための対策が主になっていた、と玉盛さんは話します。

「対策委員会では、イリオモテヤマネコやヘビ、カエルといった希少生物の専門家が集まって議論していましたが、島の自然環境全体への影響に配慮するとなかなか有効な手段が打てない状況でした。

目撃情報が多いポイントに減速帯を設置し、車両通行の際に発生する振動や騒音でヤマネコを遠ざける方法を試してみたものの、音に慣れてしまって意味をなさなくなってしまう。また、スピード抑制に関しては、振動が不快で逆に速度を上げるドライバーが多くなってしまったんです」

特効薬が見出せないまま委員として参加していた玉盛さんは、「問題を起こしているのはイリオモテヤマネコではなく人。人に対する理解が足りないのでは」と考えました。

西表島交通グループ代表取締役の玉盛雅治さん

「どうして人はスピードを出すのか。どこからどんな人が来て、どこに行って何をしているのか。琉球大学で人流データの研究に取り組む先生にお会いする機会があり、その話をしたところ、スマホの移動データをもとにした石垣空港やクルーズ船からの人の流れを見せてくださったんです。

朝の8:30 頃に石垣島の離島行フェリーターミナルに多くの人が集まり、9:30頃西表島の仲間港に到着、島内のあちこちを訪れた後、19:30頃には石垣島の繁華街に集中』といった人の動きが見られる。私たちもこうした研究をしなければ、と感じました」

タイムリーな音声案内が大きな成果を生む

環境省からの協力依頼を受け、玉盛さんは「スピードロガー」という装置を20台の地元在住の協力者の車両に取り付け、2カ月間、どこで、どんな時間にスピード超過が起こるのかデータを取りました。すると、あることが見えてきたのです。

「職場と自宅に距離がある場合、朝の時間に速度超過が起きやすい。話を聞いてみると、お子さんの世話などでぎりぎりの出発になり、出勤時間に間に合わせようとして制限速度を超えてしまっていたんです。そうであれば、余裕を持って出発できるように少し早めに起きるといった対策を考えられます。

レンタカー利用者も、目的地と港を急いで移動しなければならないタイトなスケジュールを組んでいる場合がある。そうしたことを防ぐために、予約の際にゆとりを持たせる提案をするなど、できることを探せると思いました」

レンタカーは不特定多数が利用するため、“マナーが良くない”速度規制を守らない”というイメージを持たれがちでした。事業を展開する立場として、「利用者に正しい情報を伝える姿勢」が足りなかったのではないか、とも考えた玉盛さん。

環境に配慮した運転を心がけてもらえるよう情報をしっかりと伝えることデータをもとにスピード超過の原因を探り、意識や行動を変える働きかけを行うこと

この二つを実現するため、玉盛さんは、バスに組み込まれているデジタル式の運行記録計(デジタルタコグラフ)を応用したシステムを作れないかと複数の企業に提案。様々な要望にしっかりと応えてくれた企業と連携し、運転速度や走行時間・距離を記録するほか、前方を撮影するドライブレコーダーをレンタカーに取り付け、2022年3月から実証をスタートしました。

環境省西表自然保護官事務所の協力により、クラウド経由でイリオモテヤマネコの頻出ポイント情報の提供を受け、2022年5月からはそうしたポイントや速度の出やすい場所に近づくと「イリオモテヤマネコの目撃ポイントです。道路際からの飛び出しに注意してください」といった音声で知らせる実験も開始。加えて、土地勘のない観光客が過度に急がずに済むようにと、時速40kmで走ることを前提とした「ここから港まで◯分です」というアナウンスも流しました。

スピード超過は、石垣行のフェリー出航時間に合わせ、レンタカーの給油や返却手続きをする午後の時間帯に多くなる傾向がありました。港までの距離や所要時間がわからず、とにかく早く行こうとしてしまうんです」

ドライバーが必要としている情報、伝えたい情報を運転中でもキャッチしやすい音声での案内で届ける設計が功を奏し、実証開始前は500件を超えていたスピード超過は20件弱にまで激減しました。

音声案内前の速度超過データ(左)、音声案内後の速度超過データ(右)

事故防止や観光案内などで顧客体験の向上を目指す

運転データはクラウド上に記録され、リアルタイムでの位置情報やスピード確認も可能。急ハンドルや事故の際にはアラームも飛ぶ設定で、様々な解析が可能です。

「事故予防は大きな課題の一つ。今後は、事故の頻発地点や急ブレーキや急ハンドルの多い地点などもアナウンスしたいと思っています。また、時期により冠水が起こりやすい場所の周知、畑の畦道や海岸などに入り込んでスタック(タイヤがはまって動かなくなる状態)することを防ぐためのアナウンスも行いたいですね。現地に設置する看板の場所や表示も工夫しつつ、早めの音声案内でドライバーが余裕をもって対処できる状況を実現したいと考えています」

運転記録計は、2023年1月の時点で10台に搭載済み。今後は毎月10台ずつのペースで増やしていく計画です。

運転評価機能も実装され、注意喚起や情報提供だけでなく、安全運転で島内の自然保護に貢献したドライバーに記念品をプレゼントするといったアイデアもあるそう。音声案内は位置情報にもとづく観光案内などにも応用できるため、今後様々な方向での活用も可能になっています。

レンタカーにデジタルツールと音声伝達ツールを搭載し的確に案内することで、西表島の観光資源を守るだけでなく、顧客体験の向上にもつなげるこうした取り組みは、今後多くのメリットを生みそうです。

こちらでは、西表島交通グループが取り組むデジタル化やキャッシュレス化についてお伺いします。「観光客のニーズを探り、改善点やPRするターゲットを考えよう。自分たちにできることを探そう」という視点からの様々な取り組み、ぜひご覧ください。

会社名 西表島交通グループ(西表島交通株式会社・株式会社東部交通・株式会社玉盛商会)
所在地 沖縄県八重山郡竹富町南風見201番地
代表者 代表取締役 玉盛雅治
設立  1972年5月
従業員数 2023年2月現在 70名
事業内容 西表島交通株式会社/旅客運送業(貸切観光バス、路線バス、タクシー、レンタカー、自動車整備)
株式会社東部交通/遊覧船、カヌーツアー、土産販売
株式会社玉盛商会/スーパーマーケット、ガソリンスタンド、プロパンガス販売

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