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実績データから需要を予測、客室単価を最適化 レベニューマネジメント(収益管理)の成功事例 | ResorTech Okinawa
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【2023/10/30追記】2023年2月取材時からの取り組みはYouTubeでも紹介!

2023年2月の取材時からも様々な取り組みを継続中のホテルパームロイヤル。
その取り組みの詳細は、こちらからもご覧いただけます!(TV放送終了後よりご覧いただけます)
TV版の見逃し配信はこちらから(TV放送終了後よりご覧いただけます)

【取材当時から進んだ取り組み】
◆口コミ分析ツールをアップデート。コロナ禍で自社の強みと弱み、お客さまのニーズを把握し価値向上に取り組んだが、毎日の分析をもとに定例会議を行いさらに改善を進めている

【今後の展望】
・レベニューマネジメントは自社データからの予測を自動化するツールも揃ってきており、現在手動で行っているが、自動化も検討中

那覇・国際通りに立地し、総客室数170室を備えるホテルパームロイヤルNAHA国際通り(以下パームロイヤル)は、2016年から客室単価を自社で設定、過去の実績データから予測される需要に合わせ500円刻みで上下させるダイナミックプライシングを採用しています。これにより、稼働率と客室単価がどちらも向上し、さらに増築を行い売上は5年で約2倍に。
その成果を牽引した、データから顧客ニーズを掴み提供価値に反映させるノウハウやメリットについて、取締役レベニュー&マーケティングディレクターのウィラー(高倉)智子(ウィラー(たかくら)ともこ)さんに伺いました。

需要予測データに基づき客室単価を最適化、稼働×単価の上昇を目指す

ウィラーさんはレベニューマネジャーとして1日2~3時間、パソコンと向き合っています。画面上に表示させるのは、客室の種類ごとに需要予測を示すグラフ。現在のペースで予約が入った場合、3ヶ月後に満室になるかどうかが一目でわかり、予約の伸びに応じて客室単価を調整しています。こうした手法は、レベニューマネジメントと呼ばれ、パームロイヤルでは2016年から導入しています。

毎日、需要と供給のバランスをチェックしています。売れ行きのペースが3ヶ月後に満室以上になる程度に速ければ、供給に対して需要が高い。お客様にとっての価値が高く、客室単価を上げた方が需給バランスがいいということです。これまでKKD(勘・経験・度胸)で決めてきた客室単価を、データをもとに上下させることで、需要と供給が一致する地点を探すようなイメージです」と、ウィラーさんは話します。

ウィラーさんによれば、レベニューマネジメントの基本的な考え方は次のようなものとのこと。

「客室単価1万円の部屋が1部屋売れるのと、客室単価5000円の部屋が2部屋売れるのでは、売上は同じですが1万円の部屋が1部屋売れる方が利益率が高い。でも、7500円の部屋を作れば、需要と供給がマッチして2部屋よりも多く売れ、売上も利益も最大化できるかもしれない。そこで毎日予約状況をチェックし、最適な客室単価に着地させるのがレベニューマネジメントの基本的な考え方です」

ブッキングカーブと呼ばれる需要予測データから、満室に届くよう客室単価を調整する

導入以前は6種類しかなかった客室単価は26種類に細分化されました。元となる単価は最も客室単価が高く稼働率も高い日付を最上位に置き、RevPAR(レヴパー※1)で順位付けた表をもとに設定したもの。過去の販売実績は、シーズンごとの初期料金の設定、閑散期の社内スケジュール調整にも反映させています。

365日をRevPARの高い順に並べたランキング

「価格を下げてもプランを工夫しても売れないRevPAR最下層の日には社員研修を入れたりします。RevPARの実績が中程度なら、プラン次第では単価を維持したまま稼働率を高められると考え、工夫します。データを通してお客様と会話をしているような感覚です」

※1 Revenue Per Available Room(レベニュー・パー・アベイラブル・ルームズ)の略語。客室稼働率×客室平均単価で算出する、客室1室あたりの収益を表す値のことを指します。

未来を見据え、ノウハウに投資してゼロから習得

パームロイヤルがレベニューマネジメントの導入を決めた背景には、時代の変遷がありました。顧客の購買行動が、窓口で旅行商品を販売する旅行代理店経由から、オンライン予約サイト経由へと移り変わってきたからです。2015年頃までは1日あたり151室(当時)の在庫に対して160%を旅行代理店に預けており、オンライン予約サイトで販売できる在庫数わかるまでにはタイムラグが発生していました。

「オンライン予約サイト経由の予約獲得にチャレンジしたくても、旅行代理店から客室が返却されるのは1週間前。下手に自社予約サイトで販売してもオーバーブッキングになる恐れがあり、何部屋まで売っていいかわかりませんでした。このため、仮に直接問い合わせが入っても、何部屋販売してよいのかわからず、結局在庫が残ってしまう機会損失が多かったんです」

そんな折、沖縄県の経営基盤安定化事業でレベニューマネジメントの専門家を紹介してもらった総支配人が、経営トップに「コンサルティングを受けて導入したい」と提案。トップが「これから必ず必要になる」と即断即決で導入を決めたため、2016年から2年間、専門家から2週間に 一度指導を受けて総支配人自らレベニューマネジメント部門を立ち上げ、二人三脚でレベニューマネジメントやマーケティング、需要予測の基本的な考え方と運用のノウハウを学びました。

「2017年頃から海外オンライン予約もどんどん入ってきて、オンライン予約へのシフトが本格化したことを考えると、学び始めるには絶好のタイミングだった」と振り返るウィラーさん。

一方で、細かすぎて時間のかかるレベニューマネジメントの手法や、慣れ親しんだ紙での管理をデジタル化することに対して社員の理解を得、習慣を変えることは困難なことでした。しかし、実績が上がるにつれて、次第に理解を得られるようになっていきました。

現在は、総客室数の160%だった旅行代理店に預ける在庫を40%にまで引き下げ、オンライン予約サイトでの販売数を増やしています。なお、従来の旅行代理店も自社運営のオンライン予約サイトを通した販売を強化しており、オンラインでは在庫を共有しているとのこと。

「団体のご予約を希望されるケースや、自社でオンライン予約サイトを持たない地域の旅行代理店などからは、今も電話で問い合わせが入ることがあります。レベニューマネジメントを自動化できるシステムやサービスもありますが、こうした問い合わせにすぐ対応し受け入れ判断ができるよう、今のところは人間が予約データの確認や単価の変更などを行い、在庫の状況を頭に入れておくようにしています」

2016年に過去の予約台帳に残った旅行代理店による販売数を中心に分析をスタートさせ、2017年からは需要予測を立ててレベニューマネジメントによるインターネット販売を開始。2018年には、全国の宿泊施設経営者で構成される財団法人「宿泊施設活性化機構(JALF)」が著しい実績を残したホテルに贈る『レベニューマネジメント賞』に沖縄県内のホテルで初めて選ばれ、第3回日本宿泊ダボス会議でも表彰を受けました。

クチコミや写真への反応から、価格に見合う価値を磨く

目覚ましい成果を上げたパームロイヤルですが、「価格はマーケティング活動で生み出せる価値の一つでしかない」とし、「レベニューマネジメントは、マーケティングの4P(Product:商品、 Price:価格、 Promotion:販促、Place:流通)の考え方に則ってホテル全体を改善するための道具であり、導入するだけで利益率が上がる魔法の杖ではありません」と念を押します

ダイナミックプライシングで価格を最適化したことで売上の向上が見込めたこともあり、パームロイヤルは商品にあたる客室や設備の価値の向上にも取り組み始めました。2018年には大浴場を備えた新館を竣工。また、2019年には、国際通り初の地上ウォールスループールを備えた「The Poolside Bar&Dining」をオープンさせました。

これらの取組が功を奏し、翌2019年には、レベニューマネジメント開始前の2015年に6000円台だった客室平均単価が1万円台に、稼働率は70%台から90%近くに向上し、RevPARは約2倍に。スタッフ全員にボーナスを出すこともできました。

2019年に新設したウォールスループールのプールサイドにて

「プロモーション施策の一つとして、オンライン予約サイトに載せる写真の質にこだわり、投稿した写真へのお客様の反応を見ていました。すると、リゾート感のある写真への反応が一番良かったんです。『お客様はリゾートを求めている』というポイントを把握できたことから、リゾート感あふれるプールの写真をメインにして満足度の向上を目指しました

新館とプールの増築でさらに客室平均単価を上げることができ、5年で約2倍の売上達成したのは、こうしたハードへの先行投資も大きく影響していると振り返ります。

さらに、コロナ禍においてはソフトの充実を目指して1年間かけて構想を練り、2022年3月に朝食メニューをリニュアル。

私たちにとっては、クチコミも価値向上のための大切なデータです。コロナ禍で需要予測のデータが役に立たなくなってしまったこともあり、毎日目を通していた客室単価の数字から少し離れていたんです。それがお客さまに満足していただくためには?」という根本的な問いに立ち返るきっかけになり、よりクチコミを注視しました。すると、朝食に伸びしろがあることがわかったので、沖縄料理をベースに健康に配慮した新メニューの開発に踏み切れました」

オンライン予約サイトに投稿されるクチコミは、クチコミ管理ツールを使って集約し、くまなくチェックしているとのこと。デジタルの力で利用客からのフィードバックを直接受け取り、スピーディーにサービスへと反映させています。

需給予測のデータを社内で共有、サービス向上の機運を高める

ウィラーさんは「需要予測データやクチコミを通して、顧客にとってのホテルの価値を把握することは、人材育成にも効果的」と分析します。

「レベニューマネジメントを自動化するシステムもありますが、その多くは自社の販売データではなく他社も含めたビッグデータに基づいて客室単価を動かします。私たちは、自社の実績を分析しているのですが、これはお客様から評価を受け止めて社内の人間が成長することを重視しているから。お支払いいただいた価格に見合う価値を提供できたのか。お客様の満足度をサービスに関わる全スタッフが同じ尺度で受け取ることは難しいものです。ところが、レベニューマネジメントで示される数字は『パームロイヤルに客室単価に見合う価値があるかどうか』を如実に表してくれます。数字で見える化することによって、どうすればより高い価値を感じていただけるかを議論できますし、スタッフの意識も高まり、より良いホテルにしていくためのきっかけになると感じています

「人間さえ継続的に育つなら、数字を動かす作業の部分はAIによる自動化は十分に考えられる」と展望を語るウィラーさん。顧客とサービス提供者が直接情報をやり取りする時代。得られたデータをどう扱い、何を読み取って生かしていくのかが、事業の命運を分けるのかもしれません。

ホテル名 ホテルパームロイヤルNAHA国際通り
住所   〒900-0013 沖縄県那覇市牧志3-9-10
電話番号 098-865-5551
代表者 総支配人 高倉直久
従業員数 約40名
従業員平均年齢 42歳

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