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沖縄県DX推進本部CDO補佐官に聞く!「沖縄らしいDXとは」 第1部:「2025年の崖」問題に向けて | ResorTech Okinawa
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沖縄県は、2021年に行政のデジタルトランスフォーメーション※(以下、DXという)の推進を目的として、「沖縄県DX推進本部」を設置しました。知事を本部長、副知事(企画部担当)をCDO(Chief Digital Officer:最高デジタル統括責任者)とし、2022年にCDO補佐官に就任した細川巧(ほそかわたくみ)さんを中心に、DX関連施策のための総合計画である「沖縄県DX推進計画」実現に取り組んでいます。
こちらの記事では、細川さんへのインタビューを通し、行政が考えるDX推進をご紹介するととともに、沖縄らしいDXとは何かを掘り下げていきたいと思います。
インタビュアーは、最先端のITイノベーションを活用する場と機会を提供し、沖縄県経済の振興・課題解決の支援に取り組む、一般財団法人 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO/イスコ)理事長の稲垣純一(いながきじゅんいち)さん。行政、支援機関、情報通信産業、その他のあらゆる産業、様々な視点からの質問で、沖縄県の目指す未来の姿に迫ります。
第1部では、現在日本が抱えるDXへの課題、また沖縄経済に与える影響や課題などについておうかがいします。
※デジタルトランスフォーメーション:(Digital-Transformation)の略称で、スウェーデンの大学教授であったエリック・ストルターマン氏が提唱した「ICT の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念です。DX においては、利便性の向上や新たな価値を創造するといった、利用者目線の改革が目的となります。(『沖縄県DX推進計画 概要版』より)

沖縄県DX推進本部
CDO補佐官 細川巧(ほそかわたくみ)さん

略歴
・1965年9月9日大阪生まれ、現在は那覇市在住。
・大手外資系IT企業にて約25年間にわたり、銀行系プログラム開発、データ分析などを実施、インフラ構築部門に異動しクラウド構築やITコンサルティングなどを多数行う。
・2013年からは国産情報機器会社へ転職し外販システムの責任者を務めながら企業改革・風土改革に取り組む。
・2022年5月より沖縄県のCDO補佐官に就任。

 

一般財団法人 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)
理事長 稲垣純一(いながきじゅんいち)さん

略歴
・1953年7月18日東京都生まれ
・1993年沖縄県に家族と共に居を移し、県内外の多くの教育機関(京都造形芸術大学、放送大学、他)にて講師/研究員。並行して約50本のパソコン入門ビデオパッケージを制作。のべ4,000本の放送番組に出演。
・1999年4月より2014年3月まで15年間、国際電子ビジネス専門学校校長。その後専修学校インターナショナルリゾートカレッジ校長(20年3月まで)。14年より16年まで沖縄県専修学校各種学校協会会長。兼任校長として専修学校インターナショナルデザインアカデミーと沖縄ペットワールド専門学校も担当。
<現職>
・ResorTech EXPO in Okinawa実行委員会 委員長
・一般財団法人沖縄県私学教育振興会 評議員(05年より)
・一般社団法人沖縄県情報産業協会 理事(副会長)
・公益財団法人沖縄県産業振興公社 理事

日本と沖縄のDXの現状と課題

「2025年の崖」とDX

経済産業省が「2025年の崖」という言葉で警告を発したのは5年前の2018年でした。「2025年の崖」を端的に言えば、今から7年経つと昔から使っているコンピュータやシステムは技術的に古くなりすぎ、サポートや修理に対応できる人材がいなくなって大変なことになりますよ、というお話です。今あるコンピュータがきちんと動いているうちはいいものの、壊れてしまったら組織の内部からも外部からもサポートを受けられない状況になってしまう。そのような切実な問題が起き、2025年から30年の5年間に、最大で12兆円の経済損失が発生する恐れがあるという警告でした。
それでは、どうすれば「2025年の崖」を回避できるのでしょう。経済産業省は、各企業で進んでいるIT化だけではまだ弱く、DXを進めることが不可欠だと示しています。
この5年間で、DXが日本中でどれだけ進んだか。大企業、東京だけではなく、地方の中小企業においてどれだけ進んだかを検証してみなければならないところです。
沖縄県のDXを推進するキーパーソン、CDO補佐官の細川巧さん
沖縄県のDXを推進するキーパーソン、CDO補佐官の細川巧さん

──── 2022年にCDO補佐官に就任されて約1年10カ月。「いやいや、これは大変だ」ということも多かったのではと思いますが、「2025年の崖」まであと1年。DXの現状をどのようにお考えですか。

細川さん
DXという言葉が企業の間でも多く聞かれるようになってきました。ある程度は進んでいますが、一部の先駆者が取り組んでいる状況で、まだ一般化はしていないと思います。これは自治体も同様。まだ危機が潜んでいると考えています。

──── 日本全体から見た沖縄のレベルは。

細川さん
都道府県別で見ると、沖縄県はいつも最下位付近にランクされてしまいますが、そこからは脱却し始めていると思います。極端に遅れているように見えていた要因のひとつは、取り組みに力を注ぐあまり、中央省庁への報告が遅れてしまっていたこと。最近ではそれが改善され、例えば47位だったオープンデータ取組自治体の数が、今では20位前後まで上がってきています。

──── 国から具体的なプランが提示され、それを受けて地方が動く形なので、国が遅れていると地方としては手も足も出ません。日本をグローバルに見た場合の進捗状況はどうでしょうか。

細川さん
変化に消極的なところのある日本人の気質も影響し、非常に遅れている印象です。しかし、その遅れを大きく変革できるタイミングやきっかけがあると思っています。それがシステムの老朽化から起こる「2025年の崖」であり、自治体で言えば、少子高齢化の影響で現行職員の半分で同様のサービスを提供することになると言われている「2040年問題」です。
ひとつの企業、自治体内部の人材のみでDXを進めるのはとても難しいと言わざるを得ません。国も、民間など外部人材の力を積極的に取り入れ、DXを加速しようとしています。

──── 2021年に発足したデジタル庁の役割や成果については。

細川さん
従来、行政の現場は、知識を持つ一部の職員の力、民間からの助言をもとにどうにか対応するしかありませんでした。デジタル庁が発足したことで、ITに詳しく、DXの経験を積んだ人材が大勢集まり、大きな力になったと思っています。

──── デジタル庁ができるまでは、内閣府、経済産業省、総務省などがそれぞれに専門家の参画する様々な審議会、委員会などを開催していました。それにある種横串が刺され一本化されたことで、大きな一歩を既に踏み出しているということですね。

「2025年の崖」が沖縄経済に与える影響と対策

沖縄県経済の振興・課題解決を支援するISCOの理事長を務める稲垣さん
沖縄県経済の振興・課題解決を支援するISCOの理事長を務める稲垣さん

──── 「2025年の崖」は、レガシーシステムを抱える大企業が対象という印象があります。中小企業、個人事業者がほとんどである沖縄経済にはどのような影響があると思われますか。

細川さん
レガシーシステムを使っている大企業が対象であることは確かですが、中小企業、個人事業主側は大企業に遅れて投資しており、レガシーシステムではないとしても、古いシステムが残っていることに変わりはなく、同じ崖があると思っています。
中小企業、個人事業主においても、先進的な事例を作っているところがあり、それに合わせて全体を底上げしていきたいと感じています。

──── レガシーシステムは、複雑で古めかしい技術で作られた大きな図体の金食い虫、そんなイメージですね。
2025年の崖で問題とされているのは、日本の中心である東京の大企業、人間の体で言えば心臓や脳の機能が低下しますよ、というようなお話でしょうか。言ってみれば、脳梗塞が起きれば手や足などの機能が危機に直面するように、命そのものが失われるようなことではないけれども、地方の中小企業にとっても大問題が発生する、という考え方でよろしいでしょうか。

細川さん
そうですね、その通りだと思います。
まずは経営者の皆さんにこの問題を自分ごととして捉え、「DXを進めなければ生き残れない」という意識を持っていただくことが必要だと思います。そのために、ISCOを始め様々な支援機関がセミナーなどを開催していますよね。そうした活動を通じて、問題意識を高めていくことが重要です。
私も民間企業に長く勤めていたので、このままでは利益が右肩下がりになってしまう、今取り組まなければ自分の子ども、孫の世代までそれが続いてしまう。そうした危機感を感じていました。
経営に携わる皆さんが、10年と言わず20年、30年先を見て、「右肩上がりに変えていこう」「プラスに変えていこう」という意識を持って、一緒に取り組んでいただけたらと思います。それは地域の活性化にもつながりますよね。

地域デジタルデバイド(地域間のデジタル化・情報格差)への対応

PC,device

──── デジタルデバイドの当事者が、それをあまり問題と感じていない場合もあります。例えば離島の小さな商店は、大変な思いをしてデジタル化 しなくても、今の自分の生活は成り立つわけです。でも、仕事があるということは、そこにお客さん、つまり社会の必要性があるということ。仕事という役割、使命を通して社会の必要に応え、社会を動かしているということをもう一度思い出していただけたら、と思っています。
ご自身にお子さんやお孫さんがおられなくても、今ある事業は社会を維持するために必要なもので、誰かが引き継いでいかなければならないんですよね。

細川さん
自分の代のうちに、できる限りデジタルデバイドを埋める努力をしておくことが、島の未来、地域社会の将来を良くしていくことにつながると思っています。

──── 沖縄の人は本当に沖縄が好きで、これほど郷土愛の強い土地はなかなかありません。「わったー(私たちの)島」の未来を見据えて、事業承継やDXにできるところから取り組んでいただけたらと感じます。

DX人材不足が深刻化する中、沖縄第二の産業である情報通信産業が目指すべき方向性とは

沖縄県CDO補佐官細川氏とISCO理事長稲垣氏

──── 沖縄の県を挙げた取り組みと先輩方の努力により、情報通信産業は県内産業の第2位となるまでに成長しました。多くの人材を育成し、雇用創出にも寄与した一方で、県内の「DX人材」不足の深刻化は進んでいます。

細川さん
DX人材の不足そのものもありますが、沖縄の情報通信産業を高度化していくことが必要です。人材育成は進みつつありますが、下請け案件を受注するにとどまらず、最前線で戦える高度なレベルの人材を増やしていく必要があります。専門分野を極める、コンサルティングができるといった様々な方向性があると思いますが、そうした高度化に積極的にチャレンジしてほしいですね。

──── 沖縄の情報通信産業の売上構成を見ると、顧客は東京を始め本土の企業がほとんどというのが特徴的です。県内企業からの発注が非常に少ない。せっかく沖縄で情報通信産業が育っているのに、それが県内のその他の産業の進展にあまり力を発揮していないんです。何とかこの構造を変えていきたいですね。

細川さん
そうですね。ITの知識を持つ人材が、他の産業との掛け算で力を発揮し、一緒に発展していくことが必要です。これからは情報通信産業側にその部分をしっかり担っていただきたいと思っています。
下請けだけでも充分な売上が確保できてしまうので、高度化への意識は低くなってしまうと思うんです。でも、名前をとどろかせられる分野があれば、大手企業、海外企業からのオファーも入ります。沖縄の情報通信産業にも、「これに関しては日本一です」「この分野ではアジアNo.1です」と自信を持って言えるような分野を持って、価値の高い仕事をし、GAFA(※)にも引けを取らない所得を得られる未来に向かってほしいと思います。

──── 沖縄中の企業がこの対談記事をご覧になって、「よし、明日からDXをやろう」と思い立って、沖縄の情報通信産業に「お任せするから全部やって」と言われてもそれはできませんね。企業の側にもDXに対する理解をレベルアップしていくことが求められますし、それが進まなければ沖縄の情報通信産業のレベルアップは難しいように感じます。

細川さん
そうですね。情報通信産業側も、ノウハウを吸収し、理解して、同等もしくはより高いレベルのスキルを身につけるという認識を持って本土の大手企業など力のあるところと組むことで高度化が進むと思っています。
同じく一般企業も、最初は情報通信産業と組んでDXの計画を立てて良いと思うんですが、計画を立てたら実行するのは自分たちです。社内にITやDXに詳しい人材を育てながら進み、その成功体験を各自の業界や周りの企業に広め、スキルを生かしていけるような、良い回転を生みたいと思っています。

──── 2025年の崖、行政で言えば2040年問題に向け、どのような心構えが必要か、どんな方向へ進めばいいか、イメージが湧いてきました。ありがとうございます。

※GAFA:ガーファ。「Google」「Apple」「Facebook」「Amazon」の頭文字。

第一部を振り返って

経済産業省が2018年に発した警告「2025年の崖」を1年後に控えた今、日本全国、沖縄県内でも取り組みを加速していかなければならないDX。県内でも一部に先駆者は出てきているものの、全体としてはまだ進んでいるとは言えず、危機が潜んでいる状況です。
しかし、「2025年の崖」や「2040年問題」、デジタル庁の発足をきっかけに、国の中枢や東京などの主要都市中心に、ITやDXの知識・経験豊富な人材が集まり、DXの進展が起こりつつあります。
「2025年の崖」は東京の大企業にとってはもちろん、沖縄の中小企業にとっても「自分ごと」としてとらえるべき問題です。支援機関のセミナーなども開催されています。10年、20年先の沖縄の姿、子どもたちの将来の環境をもっと良いものにしていくための学びや対策を得るきっかけに、足を運んでみてはいかがでしょうか。
沖縄県の情報通信産業の未来について、高度な人材育成と「日本一」「アジアNo1」と言える分野を作っていくことで、最前線で戦える力をつけ、大手企業や海外企業からのオファーも得られるような未来を目指すことが求められています。情報通信産業、他産業が協力し、高め合う。そこから、どのような沖縄の姿が描かれるでしょうか。
第2部では、沖縄らしいDXの本質に迫ります。

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